地蔵盆です。8月23日、24日は各地の地蔵盆のラッシュ。僕も、天満から梅田、中崎にかけての各地の地蔵盆をまわる計画を立てていたのですが、急遽、予定を変更して、北区の外に出てミナミの六地蔵詣りについていくことになりました。
ミナミの六地蔵、千日前、難波、日本橋、道頓堀エリア内の6つのお地蔵さんをお詣りするのですが、炎天下のもと、なかなかハードな体験でした。
今回、お誘いくださったのは、お知り合いの商店主で、かつ、修験道の行者さん、つまり山伏でもある方です。その方が、ミナミの六地蔵を詣るので、そのお供です。お供というかカメラマンというか、単に邪魔しに行っただけというか、とにかくまぜてもらったんですが、貴重な体験でした。
山伏というのは、まあ、山のなかをひたすら歩いて修行する、修験道の行者です。
奈良吉野の大峯山を代表に、熊野、大山、羽黒山など、日本各地の霊山と呼ばれるところにいらっしゃいます。
日本古来の山岳信仰が仏教、主に密教と混じり合ったものが、修験道。
奈良時代に成立したとされ、役小角(役行者)を開祖と仰ぐのですが、役小角はあくまで伝説的な人物です。
代表格は、やっぱ、空海、弘法大師ですな。
真言宗系と天台宗系とあるところからわかるとおり、空海や最澄が唐から持ち帰った密教がベースになってます。ベースというか、むしろ密教の周辺にあった雑密が、日本古来からあった山で修行する精神と結びついたものが修験道。すごく乱暴にいうと、そういうことになるかと思います。
頭に頭巾(tokin)、手に錫杖(shakujo)、麻でできた白い篠懸(suzukake)の法衣を着、袈裟をかけ、法螺貝を持ちます。天狗を思い浮かべてもらうとわかりやすいですね。あの格好。
もっとも、多くは、専門の僧侶というわけではなく、在家の信者が「講」を組織して、修行のときだけ山伏となり、普段は仕事を持つ社会人として働いてらっしゃいます。今回お誘いいただいた僕の知り合いの方も、普段は商店街でお店を営んでおられます。
でも、聞くと、修行は厳しいみたい。
真冬の1月に那智の四十八滝巡りとか、聞いただけで目眩がしそうです。2日間かけて、極寒のなか、那智の滝48ヶ所を巡りながら、滝に打たれるわけです。全身が紫になるらしいですね。滝から出てきて、誰かがタオルで身体を拭こうものなら、皮膚のダメージが強すぎて、飛び上がらんばかりの痛さだそうです。拭いてはいけない、タオルで押さえるだけ。…無理です、僕には!
熊野の山のなか、道なき道を2泊3日かけて往復する修行、奥駈け(okugake)も、よほどの健脚でなければ、ムリ。75kmとも100kmともいわれる、アップダウンが激しくて危険地帯も多い山の道なき道を、歩くんだそうです。夜、月明かり星明かりだけが頼り。ネパールの高地を歩いた経験はありますが、どうやらそれよりも全然キツそうです。…ムリです。
でも、山にこもって厳しい修行を行うことで、さまざまな験(しるし)を得ることを目的としているのが修験道でなので、それをしなければならない…。興味あるし、誘われてもいるんですが、よほどの覚悟が要ります!まずは、四国のお遍路さんからはじめたいじゃないですか!
さて、話はそれくらいにして、以下、今回の六地蔵詣りの写真です。
大阪を代表する繁華街を練り歩いているだけあって、素晴らしくシュールな世界が広がっています。聖と俗のコントラストのオンパレード!
まず最初、目指す先は法善寺の水掛け不動です。六地蔵詣りのまえに、地元のお不動さんへ。いきなりこの光景☆ のっけからシュールすぎます! すれ違う人、全員が写メwww
水掛け不動さんで、法螺貝。法螺貝って、吹くのがなかなか難しいらしいです。
お坊さんもいらしていて、一緒に読経します。
そのあと、御堂筋に出ます。
山伏の行列の横にはミニスカートのおねえちゃん。なんともいえん、不思議な光景です。
道頓堀のところで、御堂筋を西に横断します。
ビートルズの「アビーロード」のジャケット…違うか(笑)
アメリカ村入口にある出世地蔵さんをお詣り。
アメリカ村に山伏! もちろん、コスプレではない。
アメ村に響きわたる法螺貝の音色。
晩年の忌野清志郎は法螺貝を吹いていたけれども、彼はアメ村で吹いたのだろうか?
道頓堀を再び東に向かいます。松竹座をバックにしたがえて行進する山伏。
道頓堀の西を望む。近代と原始が交錯する不思議な空間が現出しました。
「づぼらや」とコラボw
「金龍ラーメン」とコラボwww
無料案内所とコラボwww 聖と俗がコントラスト鮮やかに交錯する瞬間!
堺筋を抜けてさらに東へ。ここはすでにラブホ街。
行列の横を歩くカップルは何処へ…。
ついていくだけで精一杯だったので、もはやどこのお地蔵さんかわからなくなってますが、堺筋の東側、道頓堀を少し南にくだった日本橋界隈です。
歩きながら、お詣りしながらの法螺貝吹きは、思っている以上に重労働のようです。
こちらの地蔵尊では、冷たいものが用意されていました。
しばし休息をとる山伏。
ビッグカメラをしたがえる山伏の行列。
物質主義と精神主義、それぞれの象徴が交錯する時空☆
ビッグカメラ横にも、お地蔵さんがいらっしゃいます。
ここはかつて大火事を出した千日前デパートがあったところ。
お坊さんの読経も熱が入ります。
法螺貝は、彷徨える魂を鎮めるために吹かれます。この地は、彷徨える魂がたくさんいるらしく、吹くのにも熱が入ります。
吹きかたによって高低の音色を使い分けるのですが、それがまた難しい!
エヴァと山伏のコラボww この両者は、似ているかもしれませんな。
もうどこか覚えちゃいませんが、この路地の奥にもお地蔵さんがいらっしゃいます。
盛大に飾られた提灯の横に祠が祀られていました。
こうして見ると、法螺貝がほしくなっちゃいます!
もちろん、プリクラは撮りません(笑)
「自由軒」前を通過。こうして手をあわせる人もいらっしゃれば、法螺貝ウルセー!って罵声を浴びせる人もいて、さまざまです。さまざまだから、俗世はおもしろい☆
旧・精華小学校横のお地蔵さん。
壁を這う緑のツタが素敵ですね。
もちろん、ジャンカラには行かない。
道を極めているわけだが、もちろん、この「道」ではない。
道具屋筋の横にもお地蔵さんがいらっしゃいます。
こちらでは、大太鼓が置いてあったので、盆踊りも兼ねている模様。
長かったお詣りも、ここのお地蔵さんをお詣りして、六地蔵詣りは終わりです。
皆、雨に打たれたみたいに汗びっしょりになってはりました。
本当に、お疲れさんでした。