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「天神橋筋・中崎町界隈 古書店マップ」製作秘話を聞いてきた!
天神橋筋・中崎町界隈 古書店マップ

みなさん、「天神橋筋・中崎町界隈 古書店マップ」というものを、ご存知か?

天神橋筋商店街の3丁目にある「関西大学リサーチアトリエ」に遊びにいくようになって、そこに積まれていたのですね。
B4版の紙に、オール手描きのmapと、裏面は古書店リスト。これも手描き。
天神橋筋と中崎町をメインに、30店舗の古書店がマッピングされています。しかもよく見ると、現在のものは第2版。版を重ねてるのか!

でも、そこで見たのが初めてじゃなくて、どこだか覚えてないけれども、いくつかの場所で見かけたことがあって、そんときは、古本屋さん業界かなにかの団体がつくったのだろうな、くらいで、さして興味はなかったのですね。まあ、天満界隈は古本屋さんが多いし、そういう地図があってもいいわな、くらいで。
古本屋さんは嫌いじゃないけど、むしろ新刊派なので。

でも、その地図が関西大学リサーチアトリエに山積みにされていて、でも、それってちょっと変じゃないですか。
なので、聞いてみたのですよ。
すると、です。すると、関大社会学部院生にしてアトリエに常駐しているスタッフの松岡慧祐クンらの発案で企画され、ひとつずつ書店を訪ね歩いてつくったのだそうです。
社会学部も扱う領域は広大無辺にあるだろうけれども、まさか地図をつくっていたとは。
というか、聞けば、松岡クンは地図マニアで、研究対象も、ズバリ、「地図」です。


きっかけは、アトリエの近くにある古書店の店長さんが、お客さんに古書店マップのようなものはないか、と問い合わせがよくあると聞き、ないんだったら、つくろう!と。そういうことらしい。地図オタク…、基、地図研究学者さんの研究対象とまちのニーズの幸福な出会いが、そこにはあったわけです。

昨年8月に企画し、10月に動きはじめ、1ヶ月で製作。
僕も仕事が早いほうだけれども、これもなかなかのペースです。

僕もね、何度か地図をつくったことがあるけれども、めんどくさいんですよ、あれは。特にリストがない場合はね。
古書店マップも、30年か40年ほどむかしに関西の古本屋mapというのがあったらしく、それを取り寄せてリストをつくったり、大阪古書組合のHPをあたって、加盟店をリストアップしたり…、つまるところ、いくつかのリストをツギハギしてリストをつくっていくわけだけれども、積み上げ方式だと、漏れがあるのかないのかすらわからない状態で進めていかねばならんので、精神的にもしんどいですね。
紹介してもらったり、足で歩いて散策してみたりと、最後は、自分の目を信じるしかない、というところに行ってしまいますから。

そのあたりの苦労は僕もわかるだけに、これはなかなかの労作業だっただろうと推測します。

紹介してもらったりするためには話を聞く必要があるわけで、そうなると、飛び込むしかないわけです。
でも、古本屋さんのオヤジさんって、頑固でヘンコそうなイメージがあるじゃないですか。そこを、営業経験のない大学院生の松岡クンたちが、勇気を振り絞って飛び込むわけです。
会ってみればね、気さくで人のいい大将もたくさんいるだろうけれども、会うまでがね、なかなか勇気が要ります。ま、そのあたりはオフレコの話も含めて、楽しい話がいろいろあるので、お聞きになりたい方は、松岡クンに直接聞かれるのがいいかと。

ちなみに松岡クンは、こんな人です。
顔出しはヤダ!とダダをこねるので、足だけのご登場。でも、この足であっちこっちを歩き倒して、古書店地図は完成したのでした。

天神橋筋・中崎町界隈 古書店マップ


そんなかんじで、リストを作成するまでの苦労はなんとなく想像がつくのだけれども、実際の製作における苦労などは、どんな点があったんでしょうかね?

聞いてみると、地図でカバーする範囲の設定が難しかった、と。
当初は天神橋筋商店街だけを中心に考えていたところ、商店街は直線なので、地図も恐ろしく縦長のものになってしまうし、そうなってしまうと、地図特有の面的な広がりがなくなってしまい、おもしろくない。。。
そこで、もう少し広域にして、全体の広がりを持たせるよう、範囲設定したのだそうです。

なるほど〜。面的な広がりね。たしかに、地図の特性って、そういうところにありますね。言われてみて初めて気がついたけれども、納得☆

さて、オタクではなく社会学者が地図をつくるのだから、地図の持つ意味や意義といったところを、松岡クンにおうかがいしました。
地図が果たす役割とは、なんぞや?と。

まず挙げられるのは、
地域のイメージの再構築のキッカケになる、と。

これも、あ、と思いましたな。
地図をつくるということは、そのエリアを編集するというか、デザインするというか、要するに、タグ付けした情報を抜き出して、現実を矮小化させる行為です。言い換えると、洗練、デザイン、リ・デザイン、再構築…、そういう概念が、しっくりきます。

エリア内に存在する有象無象にタグをつけて、抜き出し、ビジュアルにすることで、有象無象に埋もれてしまっている、あるイメージを浮かび上がらせることができますね。
実際、この界隈には古本屋さんが多いな、と、なんとなくわかっていても、こうして地図化することで、ビジュアルとして捉えることができるし、数値化することもできるので、曇っていたものがクリアになって、より把握しやすくなります。
その意味では、グラフに似てるかもしれない。でも、グラフよりも、地図のほうが楽しいのは、盛り込まれているビジュアル要素がバラエティに富んでいるからでしょうな。

さらに、地域の共同性を高める役割を地図は果たす、と。
これについては、この古書店地図がまさにケーススタディになっていて、こうして地図を作製することで、これまで付き合いの希薄だった古書店同士の交流が生まれたのだそうです。
地図ができるまでは、自分のまちにどれだけの同業店舗があるのか知らなかった古書店さんがたくさんいたのだそうです。
でも、できあがってきた地図を見て、あんなところに店があったのか、知らんかったな、といったことがたくさんあり、実際に訪ねていったりする古書店さんもあり、さらにはそうしたネットワークが商売に繋がった例もあったのだとか。

地図にそのような役割があったとは、もう、ビックリで、こうなってくると、地図をつくるという行為そのものが、意味も意義もあるものになってきますね。
だって、そうなると、地図をつくる行為が、そのまんま、地域への愛着をますことに繋がっていくのだから。

このあたりのお話はなかなかスリリングで、僕のように、仕事で地図をつくったりするような人間には、まったくない視点です。
仕事で地図をつくる場合は、その地図を手にとる人、つまりユーザーさん、観光地でいえば観光客側に立って、その人たちが使いやすい、その人たちに撮って有益な情報が載っている、そういうことに力点を置きながら、製作していきます。

でも、社会学者さんの視点は、それだけではなくて、地域のため、という目線が入ってきます。つまり、観光地でいえば、観光客のみならず、観光地の人たちにとっても意義のあるもの、という目線。
これ、すごく新鮮でした。

実際、古書店地図の裏面にリストされている古書店さんのスペックには、PR文が添えられていて、それらは、古書店さんご自身が書かれているのだそうです。
さらに、掲載されている史跡や観光スポットのなかには、古書店さんからの提案もあったとのことで、地図づくりに古書店さんもかかわっている、と。
つまり、松岡クンをはじめとするアトリエのスタッフたちだけでなく、地域の人たちが製作にかかわっているんですね。だからこれは、地域(古書店さんたち)の集合知でもあるわけです。

そのようにして、まちおこしのツール、地域を繋ぐメディアとしての役割を、地図製作というプロジェクトは担えるのですね。
それも、だ。
初版3,000枚+現在まで増刷が8,500枚のすべてが大学の印刷機をまわしてつくられているので、コストは紙代数万円のみ。人件はアトリエスタッフだけなので、実質のコストは紙代だけです。
わずかそれだけのおカネで、こんだけのことができてしまうという。。。

いやー、地図って奥が深いな。

「天神橋筋・中崎町界隈 古書店マップ」は関西大学リサーチアトリエほか、界隈の古書店など、いろんなところに置いてあります。

PDF版は、こちらからダウンロードできます。

http://www.kansai-u.ac.jp/rakusai/rakusai/rakusai_koshomap.html
http://www.kansai-u.ac.jp/rakusai/img/rakusai/kosho/map.pdf


そんなふうにして古書店地図をつくってしまった松岡クンなのだけれども、なぜ古書店だったのかというと、昨年の7月にアトリエがオープンして、商店街に一人放り込まれて、唯一、気楽に立ち寄れたのが、古書店だった、とのことです。

あの界隈には、古書店然としていない、わりとオープンな古書店もあるので、そうしたお店にフラッと入り、気がつけば店主と仲よくなり、そんななかで前段に書いたような幸福な出会いがあり、そこからコトははじまったのでした。

松岡クン自身も、ご自身の研究のために古本屋を巡るのみならず、古本や古着のような、店主のこだわりで、厳しくも楽しそうに商売をやってはる、あの佇まいが好きなようで、きっと、そのあたりの相性もよかったのでしょうね。
また、若い人たちが古本に興味を持って地図をつくるということも、年配の人が多い古本店主たちには嬉しかったのかもしれませんな。

松岡クンは、最後に、こう語ってくれました。
これだけ古本屋が集積しているのなら、これは立派なまちのアイデンティティのひとつになると思うし、地図には、複雑な空間や社会の情報を縮減・一覧化して、まちのイメージやアイデンティティ(地域性)を生成する機能があると思っているので、地図をひとつつくることで、人びとの認識も少しは変わるのではないかと思っています、と。

なるほどね。
アイデンティティの確立まで目指せるのだとしたら、地図もなかなか奥が深いですな。


松岡クンは現在、リサーチアトリエのスタッフを任期満了で終え、通常の大学院生に戻られています。なので、アトリエにはいてないけれども、アトリエを訪ねてスタッフに問い合わせしていただければ、きっと、松岡クンとコンタクトがとれるはずなので、地図にまつわるあれやこれやのお話を聞いてみたい人は、ぜひ☆




「天神橋筋・中崎町界隈 古書店マップ」
関西大学リサーチアトリエ
大阪市北区天神橋3丁目9-9
http://www.kansai-u.ac.jp/rakusai/index.html


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この記事のコメント
とても見事な記事をありがとうございました!
僕のダメトークをこんなに上手にまとめてくださるなんて、さすが人気ブロガー。
長いのなんて全く気になりませんw

おかげさまで、自分でもあらためて考えさせられることがありました。
たしかに地図には、ここに書いていただいたような様々な可能性が潜んでいるものの、それが実際に「効く」には、まず人びとの手にわたり、そして読んでもらう(使ってもらう)ことが大前提になるわけですね。
地図を作るという行為・活動そのものにも社会的な意義はあるのですが、それだけではコミュニケーション・メディアとして機能したとはいえません。
そして、こういった地域のマップは、せっかく作られても、十分に行きわたらずに終わるケースが多いのではないでしょうか。
これは、「せっかく面白いイベントが開催されても、人びとはそれを知らない」という話と似ているかと思います。
これは地域の情報全般に共通する問題なのかもしれませんが、いかにして地図を人びとに読んでもらうか(あるいは、なぜ読まれないのか)を考えることは、地域社会における地図のあり方を論じる上で結構重要な視点なのかなと思ったりしています。
そして、このあたりは、広告屋や行政の仕事とも絡んでくる話だと思うので、またご意見などお聞かせいただけるとありがたいです!










| 松岡慧祐 | 2011/04/28 10:57 PM |
この記事のコメント
> 松岡さん

いやいやいや〜、大変興味深いお話をありがとうございました。
広告屋の僕も地図をつくることはしょっちゅうですが、おなじ地図づくりでも、社会学者さんとは視点が全然違うことが浮き彫りになって、なかなかおもしろかったです。

で、広告屋として考えることは、
呼んでもらえることが大前提なのはあたりまえだけど、読んでもらえる工夫(仕掛け)がなされているのか、ということと、行き渡らせるための広報、ですね。

で、集客のための地図ではなく、地域のための地図ということで考えると、この地図は、じつは、僕が日常かかわっているソーシャル・ネットワークと似たような位置づけにあるよなあ、ということです。
つまり、twitterやFacebook、mixiといった、タグ付けとは似て非なるものかもしれないけれども、なんらかのくくりで構成されているネットワーク図は、地域のための地図と似ているなあ、と、今、ぼんやり考えています。
このあたりに、もしかしたら、広報のヒントがあるかもしれません。

なにやら、えーかげんな話ですが、そんなことをチラと考えたりもします。その方面でじっくり考える機会は、おそらく今年の後半の仕事でやってくるはずなので、そんときまでの宿題にしようかと(笑)

なにはともあれ、取材ご協力、ありがとうございました☆

| ルイス | 2011/05/13 1:11 AM |
この記事のコメント
初めまして。かつて関大社会学部天六学舎卒・現在62歳の退職高齢者です。かねてから地図制作作業に快哉を静かに叫んでおります。今後益々のご活躍を祈念致します。
ところで、事務所の前をよく通るのですが、たいていお留守です。ここで昼間不定期にでも古書販売でもしてもらえれば有り難いのですが・・・。

| OSAMU.K. | 2013/06/21 9:05 AM |
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