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第22回サイエンスカフェは「人工ボディをつくる 心のバリアフリーをめざして」工房アルテ・福島さん、愛と感動と疾風怒濤の人工ボディ奮闘記
今月の北天満サイエンスカフェ、じつはお題を聞いた当初からずーっと楽しみにしていて、過去最高におもしろいサイエンスカフェになるだろうなとも予想していて、実際、その通りになったという、じつにじつに幸福な時間を過ごしたのでした。

お題は、
「人工ボディをつくる 心のバリアフリーをめざして」
お話をしてくれるのは、工房アルテ福島有佳子さんです。

北天満サイエンスカフェ 工房アルテ


福島さんには、これまでお会いしたことはなかったのだけれども、お噂はかねがね耳にしていて、ずーっと、会いたいな!と思っていた方なのでした。

福島さんがされているのは、交通事故や病気などで身体の一部を失った人のために、ハリウッドも真っ青の特殊メイク・レベルの人工ボディを完全オーダーメイドでつくるお仕事です。
カウンセリングから製作、メンテまで、すべて自己完結させてしまいます。

ここで書きたいことはヤマほどもあるのですが、まずは、この人工ボディを見てください。
蝋人形館か!ってくらいに、リアルです。リアルすぎて、怖いくらい。

北天満サイエンスカフェ 工房アルテ

指を例にとると、皮膚の色(指だけで数十ヶ所、色を使い分けます)はもちろんのこと、血管の浮き具合、関節のしわ、爪の切り方、爪の根元にある白いところ(←なんて言うんだっけ?)…、もう、なにからなにまでリアルです。しかもこれ、使う人にあわせてつくるんで、こうやって、パーツ単体を持ち出してリアルだどうだという話ではないところが、すごすぎます。

このジャンルに関しては、福島さんが前人未到の開拓者だし、今でも全身対応できるのは工房アルテさんだけだし、要するに、先達も先生もいないなか、彼女は、ひとりで、ここまでの境地に達してるわけです。
人工ボディという言葉も、彼女がつくった言葉です。

すると、先生は、お客さんが先生、ということになってきます。
たとえば、義手や義指にマニキュアを塗りたいと、お客さんが言ったとする。通常、人工ボディなんだから、そこまで言わないで、それはわがままってもんでしょ!となります。
五体満足の人は、マニキュア塗りたけりゃ塗るわけで、誰もそれをわがままとは言わない。でも、人工ボディだと、わがままになっちゃう。
福島さんは、そこを見逃さない。普通の人が普通にできることは、人工ボディを使う人もできるようになるのが自分の仕事、と捉えます。
そっから、マニキュアを塗った人工ボディの開発に取り組みます。今だと、ジェルネイル。人工ボディはシリコンでできてるんで、ジェルネイルを施しても、ツルンと滑っちゃって、できないんですよね。でも、試行錯誤して、できるようにした。
お客さんが先生だというのは、そういう意味。
僕も、クレームこそがビジネスチャンスだと捉えるタチなんで、この話は、すんごくよくわかります。
ただ、僕らの通常の世界だと、キリがない!って思うこともある。でも、福島さんは、そこに限界を設けない。そのすごさは敬服に値します。

これ、どうよ? ジェルネイルを施した人工ボディの指。
これが人工ボディの指だとは、間近で見ていてもまったくわかりません。

北天満サイエンスカフェ 工房アルテ

北天満サイエンスカフェ 工房アルテ


この、どこまでも技術を追求し続けるハンパない情熱もさることながら、このお仕事は、つくづく、ヒアリングというかカウンセリングというか、とにかく、ユーザーの立場に徹底的に寄り添うことがキモなのだな、と、思いました。

身体の一部を失った方たちの、僕らの想像をとっくに超えた興味深いお話も、たくさん聞くことができました。

たとえば、右の小指がなくなってしまった人は、常に、右端に座るようになります。心にバリアがあるんですね。

一方、たとえば、生まれながらにして指が2本しかない人は、服を着たりボタンを留めたりすることができるかどうか。答え、できます。2本の指を自在に操って、服を着たり脱いだり、ボタンを留めたり外したり、編みものだってできる。2本で足りなければ、足の指だって使うし、それでも足りなければ、口を使う。
つまり、キチンと機能している以上、これは欠損ではないんですね。単純に、先天的に指が2本だ、ということだけです。
その人は、それで通常の生活を送ることができているし、心にバリアがない。
ただ、先天的なものの場合、その人を生んだおかあさんが、自責の念に駆られ続ける。
そういうところにまで目配せしながら、ヒアリングをし、カウンセリングを続けていくのが、福島さんのスタイルです。

生まれながらにして指が2本で、それが機能しているとき、その人に、残り3本の人工指を用意することは、しないそうです。
その3本をつけてしまうと、今度は逆に、機能を失ってしまう。2本指だったときにできていたことが、5本指になったせいで、できなくなってしまう。僕らの指が突然6本だったり7本だったりになったときのことを想像すると、なんとなくわかるかもしれません。こんなこと、徹底的に相手に向き合ってないと、気づかないと思いますね。

なぜ、人工ボディにこだわり続けるのか。
つまるところ、心のバリアフリーを目指したいわけです。
身体の機能の一部をなくしてしまったことで、身体の一部を欠損してしまったことで、心にコンプレックスを抱くようになる。その、心のバリアをなくして初めて、人工ボディも意味を持ってくる、と、彼女は考えます。

たとえば、片腕がない小さな女の子でも、家族の理解とサポートを受けて、のびのびと暮らしている例があります。
小さいお子らのあいだのことやし、悪気がなくても、なんで手がないねん?って言うてくるお子は、なんぼでもいます。
そんとき、その女の子は、家にあるわ!って言い返すんだとか。
こういう切り返しができる女の子には、バリアはないですね。こういう事例を聞いていると、感動すら覚えます。
結局のところ、障害の大きさが問題になるのではなくて、障害をどのように感じるのかが問題になってくるのだということが、この事例を見るとわかります。そしてそれは、本人だけの問題ではなくて、周囲まで含んでくる問題です。

向き合っていないとわからないこと、想像の及ばないことは、まだまだなんぼでもあります。

福島さんがつくっておられる人工ボディは、義肢とは少し違います。
義肢には、機能が備わってます。しかし人工ボディには、機能はない。手や足にしたところで、動くわけではない。

たとえば、交通事故などで顔の一部、たとえば片目を失ってしまった場合。
片目だとしたら、不完全ながらも残った片目で機能は果たせます。が、しかし、現実問題として、顔の一部を欠損してしまうと、仕事がなくなります。
悲しい現実ではあるけれども、たとえば、顔の一部を欠損している人を雇うところは、奇特なところだと言えます。
現実に仕事がなく、生活ができない。しかし、そういう人をフォローする保険なりの法整備は、なされていない。人工ボディはオーダーメイドなので、保険の対象から外れてしまうのだそうです。しかし、オーダーメイドでないプロパーの顔って、なに?

福島さんは、そんな現状をなんとかしたくて、法改正にまで手を染められています。
なにからなにまで、その行動力は、桁外れです。

むかし、違う場所に店を構えていたとき、近くに暴力団事務所があったそうです。
そのころ、暴対法が施行されて、暴力団を廃業した人がたくさんいた。しかし、彼らの多くは、小指がありません。小指がなけりゃ、仕事にもあぶれます。
そこで、彼らが福島さんのところにやってくる。そういう境遇の人たちだから、実費だけで人工ボディの小指のオーダーを請け負う。でも、そういう人たちだから、支払いを踏み倒す人もいてるわけです。でも、めげずに、取り立てに行く。精一杯のことをやっている自負があるから、怖いもの知らずでギャンギャン文句を言いながら、支払ってもらいにいく。

元暴力団が駆け込んでくるわけだから、警察にも目を付けられます。あんたんところはなにをやってるんや?と。指つけてるだけやん!

そのうち、第三セクター方式で、彼らの就職の斡旋施設までつくるようになります。
思い立って、警察のマル暴に出向いていって、指つくってる、就職斡旋もしてる、そちらも協力してくれ、と、掛け合いにいく。
もうね、思い立ったら即行動の、桁外れの行動力ですわ。

ここに至る疾風怒濤のような福島さんの人生も、おもろかったです。
たまたま知り合いに耳のない人がいて、その人が風邪を引いても耳がないばっかりにマスクをかけることができないでいた。
じゃあ、私がマスクを引っ掛けるボタンをつくったげるわ!ってことで、ボタンみたいな拙い耳をつくって、接着剤で耳のところに引っ付けてあげた。それが評判を呼んだ。

なかなかできることではないと思います。
こっから、彼女の快進撃がはじまってます。や、これ以降も紆余曲折いろいろあったけれども、ここが原点。

その間、彼女は独学で技術を磨き、お客さんを先生として技術を磨き、お客さんの声を聞くことで技術を磨き、お客さんの声を聞くことに心血を注ぎ、わがままをわがままとせず、お客さんに寄り添い、心にポッと灯った思いを、桁外れの行動力でもって、走っていきます。

お客さん、患者さんについてきてもらうために、技術を磨いた。
どうなってもいいように、技術を磨いた。技術は、嘘をつかないから。

息を飲むばかりの2時間でした。






次回のサイエンスカフェは、
12月25日(土)14:00-16:00
「こども面白サイエンスカフェ vol.4」

毎回大好評の、おもしろ理科実験がたくさん。
いつのまにか、大人が食いついているという実験ばっかりです☆



北天満サイエンスカフェ
天五中崎通り商店街
大阪市北区黒崎町
HP http://kitatenma-cafe.com
mapを見る

工房アルテ http://www.kawamura-gishi.co.jp/arute/ 



【過去の北天満サイエンスカフェ】
■「天五中崎通り商店街で北天満サイエンスカフェ開催☆ 路上の紙芝居風講義がおもろすぎます!」

■「寺子屋風にサイエンスを学ぶ 『北天満サイエンスカフェ』。天五中崎通り商店街で新型インフルエンザについて学んだのでした。」

■「第4回北天満サイエンスカフェは、『遺伝子組み換え作物は安全か?』で、またまた生活に密着したサイエンスでした。」

■「第5回北天満サイエンスカフェは、子供向けだけど子供騙しじゃなかった『こども面白サイエンスカフェ』☆」

■「今年一発目の北天満サイエンス カフェは『地球の未来を考えよう! 〜気候変動と私たちのくらし〜』です☆」

■「第7回北天満サイエンスカフェは 『まちづくり』について語り合ったのでした」

■「第8回北天満サイエンスカフェは、初の遠征!適塾を見学してきました☆」

■「今回の北天満サイエンスカフェは、食の大切さについて。不健康生活を肯定するルイスがグチりまくるブログの巻(笑)」

■「サルは自己犠牲を伴う行動をとる! 第10回北天満サイエンスカフェは、ヒトの仲間であるサルの生態を見る☆」

■「今回のサイエンスカフェは『睡眠 について考える』。考えても、生活習慣を変えんかぎりはどうにもならんけど…(笑)」

■「今回もやっぱり大人が夢中になっ た、こども面白サイエンスカフェ☆」

■第13回サイエンスカフェは、錬金術☆

■第14回サイエンスカフェは「家族と住まい」&オープニングイベント! ライフスタイルと家について語り合ったのでした

■久しぶりのサイエンスカフェは、今回もやっぱり夢中になってしまった「子ども面白サイエンスカフェ」

■お盆のまっただ中に、星と宇宙について語るサイエンスカフェ☆

■久しぶりのサイエンスカフェは「女と男」。自我は胎児のうちから芽生えて決定しているという驚きの事実!

■サイエンスカフェだけじゃなくてライブあり屋台ありキッズソーランありで、盛りだくさんをタンノーした北天満 秋のコラボレーションでした

■第21回北天満サイエンスカフェは、水とアルコールの不思議な混ざりかた




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