またしても
職人展。ここんところ、エントリーを連発してますが、なんせイベントが多いし、歩いて5分のところでやってるんで、連日足を運んでます。タダだしな!
過去の関連エントリーは、こちら。
「北区にはこんなにも素敵な手仕事があった!第2回 北区の伝統文化と職人さん展『ものづくりと手仕事を中心とした展示会』」「北区自慢の箏の糸締め名人の仕事を見てきました☆」「職人さん体験教室『天満の老舗味噌やさんの味噌を使ったお手軽料理をフレンチシェフに学ぼう』を見学してきました(体験参加できず試食もできず…涙)」
「第3回北区の職人展がはじまってます。今回は、若手と伝統のコラボがメイン」今回は、
提灯の製作実演です。
実演してくださるのは、天神祭の提灯を一手に引き受けておられる
「提灯舗かわい」さん。繁昌亭にも提灯を納めておられます。
提灯舗かわいさんは、幕末の動乱がはじまる1858年(安政5年)に創業された、北区の古い企業です。
当時、提灯は生活必需品で、滝川、堀川、西天満に20軒ほどの同業者がいたのだけれども、生活スタイルの変化に伴い、提灯は生活必需品からは消え、北区内では、提灯舗かわいさん以外には同心町と中崎町に1軒ずつ、という状態なのだそうです。
提灯舗かわいさんを率いる河合さんは、天満生まれ。厳しいお父さんの後ろ姿を見て育ってきたのだそうです。伝統の灯を絶やさないのと同時に、提灯の新しい可能性の追求にも取り組んでおられる、意欲的なクラフトマンです。
今回の製作実演では、提灯舗かわいさんの若手クラフトマンである山上さんの製作実演と、提灯の名入れや絵つけを担当する
「図研むしまつ」の上田さんの絵入れが行なわれました。解説は、提灯舗かわいさん代表の河合さん。
丁寧に解説してくださった河合さんです。
山上さんは、もともとはサーフボードの製作者だったのだけれども、職人の世界に憧れて、提灯舗かわいさんの門を叩いた変わり種。でも最初の1年間は無報酬で修業を行なう日々やったそうです。
上田さんは、繁昌亭の提灯の名入れを任されて以来、活動の場をひろげる筆耕のプロですわ。提灯だけでなく、暖簾、舞台装置、お店のメニューなど、いろんなところで、彼女の絵入れや筆を見ることができます。僕の大好きな天満の沖縄料理屋の「てぃだ」にも、彼女の提灯がさがってます!
「提灯舗かわい」さんのサイトはこちら。
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http://www.chochin-kawai.com/「図研むしまつ」さんのサイトはこちら。ブログ、おもろいです☆
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http://musimatu.com/提灯の製作手順は、張り型に骨を沿わせる→和紙を貼る→型を抜く→文字や絵を入れる、という製作手順でできあがっていて、多くの職人の手が入ってます。なので、担当する工程でミスがあるとかかわっている職人全員に迷惑が及ぶので、それを考えると、気の抜けない集中力が要求されますな。
ところで、提灯というのは、室町時代に中国から入ってきたものなんやそうです。でも、折りたたみ式ではなく、折り畳める提灯は、日本独自のものですわ。そういえば、中国では、「灯籠」と書いて、携帯用の提灯も据え置き用の行灯も一緒くたにしてるんで、折りたたむという発想自体がないですな。
ちなみに提灯には、一本の長い骨を螺旋状に巻いていく巻式の提灯と、一本一本骨をかけて留めていく地張りの提灯がありまして、地張りの提灯は製作に時間も手間もかかって効率的ではないけれども、大きな提灯、しっかりした提灯、用途に適した提灯をつくることができます。
今回の実演では、地張りの提灯の製作を見せてもらいました。
ではでは、以下、実演です〜。
まず最初は、竹を割って提灯の骨をつくる竹割の作業から。
縦に半分に割った竹をさらに半分に割いて、それをまた割いて、最終的に、物差しくらいの幅になるまで割きます。
物差しくらいの幅になった竹の先端に、おなじピッチで8〜10個程度の切り込みを入れていきます。今度は、竹ヒゴ程度の幅に割いていく作業です。
刃を据え付けた台に竹を乗せて、切り込みに沿って刃を入れていき、竹を細かく割いていきます。
でも、刃を入れるのは竹の節のところだけで、それ以外のところは、竹をしごくことで勝手に割けていき、バラけていきます。勝手に、といっても、しごきかたに熟練のコツがあるのはもちろんで、キレイに割けるようになるのには、やっぱ時間がかかります。山上さんは、入門から1年間は、来る日も来る日もこればっかりやらされてました。
こうして骨ができたら、張り型に骨を沿わしていきます。張り型の周りにクルッと骨を沿わせて、骨の両端を、糊を塗った和紙でクルクルッと接着して、固定します。
職人技のキモは、正確に、手早く、美しく、だと思うのですが、この、和紙でクルクルッと骨の両端を巻いていくさまは、正確、かつ手早く、かつ美しい姿で、惚れ惚れしてしまいました☆
骨をすべて張り型に沿わせたら、次は、和紙を貼っていきます。大きな刷毛で骨に糊付けして和紙を貼っていくんですが、糊を塗るというよりも、刷毛で骨を叩いて、糊を乗せていくという感覚です。糊が多くてもダメだし少なくてもダメだし、このへんも難しいところで、塗る感覚でやると、どうしても糊が多くなってしまって、失敗するんだそうです。だから、叩いて、糊を骨に置く感覚で。
糊を塗ったら、骨に和紙を貼っていきます。提灯舗かわいさんで使用する和紙は、島根県の石州和紙。ユネスコの無形文化遺産に登録されている和紙です。たしか、障子紙によく使われる和紙だったと思うんですが、もしかしたら違うかも…(笑)
ピンとキレイに貼れたら、ヘラを使って骨の上に筋を入れて、和紙を完全に骨に貼っていきます。ちなみに、糊は、壁紙を貼る糊とおなじものを使っているんだそうです。虫が来ないので、これがいいんだとか。文具で使う糊よりも固めの糊で、霧吹きで水を吹いて、伸ばしていきます。
貼り終わったら、カミソリを使って、余分なマージンを切り落としていきます。これも簡単そうに見えて、きっと、難しい(笑)かーなり集中力を要すると思いますわ。
このあと、半乾きの状態で、張り型をばらして、提灯が完成。次は、絵入れと字入れにバトンタッチ。
こーんな格好で、筆を走らせていきます。平たい紙や木じゃなく、立体の表面に筆を走らせていくので、安定させるのが大変でしょうな。
何種類もの筆や刷毛を使い分けて、かすれを出したりにじみを出したり…。
囲い字といって、字のアウトラインを書いてから、なかを塗っていきます。塗り絵に近い手法ですね。ちなみに、提灯に使う文字には決まったフォントはないそうですが、見やすくて、訴える字を書けと言われてきた、と、河合さんはおっしゃってはりました。
描くのは、一発勝負。書道家は何十枚も何百枚もおなじ字を書いて一番いいものを展示するけれども、提灯の絵入れや字入れは一発勝負で失敗が許されまへん。このプレッシャーのなかで、納得のいく仕事をしなければならないのだから、大変やと思いますわ。
無事完成☆
これ、お寿司屋さんの店先に提げられていると、似合いますな。いくらぐらいするのかな?
さてさて、提灯舗かわいさんと図案むしまつさんからのお知らせ。
空掘にあるギャラリー「SORA」で開催される「AKARI」展に、かわいさんとむしまつさんがユニットを組んで出品されます。
2010年3月8日(月)〜3月20日(土)
ギャラリー「SORA」の詳細はこちら。
↓
http://sora.swee.to/index.htmlここに出品する際のユニット名は、「Gruop Peach Lignt」。
ピーチライトって!(笑)
えーっと、提灯というのは、そのむかし、「桃燈」と書いたらしいのですね。なので、ピーチライト(笑)
おもろそうなんで、ぜひぜひ☆
というわけで、職人展も、いよいよ佳境☆
第3回北区の伝統文化と職人さん展 提灯の製作実演大阪市北区役所 区民交流プラザ
大阪市北区扇町2-1-27
HP
http://www.city.osaka.lg.jp/kita/page/0000058674.html会期:2/23(火)〜3/5(金)※2/27(土)は休み
開場:9:00〜17:30
入場無料
今後のイベント
2/28(日)10:00〜12:00
●春のお茶会に使う和菓子をつくろう
2/28(日)14:00〜15:00
●ギャラリートーク(大阪市立扇町総合高校、宝塚造形芸術大学、大阪デザイナー専門学校、大阪市立デザイン教育研究所)
3/4(木)14:00〜15:00
●箪笥の製作・修理の実演
詳細は、北区役所企画調整担当まで(tel. 06-6315-9560)
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