大阪市北区の商店街を束ねている団体として、大阪市北区商店会総連合会というのがあるのですが、そちらの主催で、
「北区まちづくり講演会」というのが帝国ホテルで開催されて、お呼ばれいただいたので、行ってきました☆
講演は、
1)大阪市北区町の福塚秀彰氏2)大阪ターミナルビル株式会社常務取締役企画部長の江本達哉氏3)株式会社大丸大阪・梅田店長兼梅田新店計画室長の村田荘一氏このお3方が、順番に講演されました。
以下、講演のダイジェストです。
最初は、
福塚秀彰大阪市北区長です。
福塚北区長は、これまでご自身が携わってきたお仕事を振り返りながら、主に、これからの役所と地元の商店街の関係のありかたについて語ってはりました。
福塚北区長は、下水道局勤務で役人人生をスタートさせ、労務管理を長くやってこられたそうです。その後、建設局で放置自転車対策やホームレスのテント除去問題などにあたられるなど、わりと泥臭い仕事をされてはります。
以後、フェスティバルゲート建設時に金融機関と丁々発止を繰り広げたあと、環境局に移って廃棄物行政に携わります。
ゴミ袋の半透明化と有料化、議会と連携して路上喫煙の近視にかかる法案の成立に尽力し、路上喫煙禁止地区を制定したほか、罰則規定の運用を、全国に先駆けて実施することにも尽力されたそうです。
そうしたキャリアを経て、わかったことは、金融機関と話を進めることで資本は動いていき、まちづくりと資本が連動するような仕組みを考えていかないと実際ところは動いていかない、ということだそうです。
そして、地べたの局を歩いてきた役人らしく、現場には知恵があるので、それを利用しない手はない、と。
さらに、区長として初めて北区役所に赴任したとき、北区といえば大阪駅・梅田駅を中心に大都会を形成しているイメージだけだったのが、実際のところは、そんな無機質なものではなく、たくさんの生身の人が助け合って生きているのだということを知ったのは、大きな驚きだったと語ってはりました。
地域の盆踊りや桜祭などに呼ばれ、行ってみると、企業住人だけではない、この地を愛し、この地に根ざし、それぞれで助け合いながら生活している人が驚くほどたくさんいるのだと、認識を新たにされたそうです。
以後、まちづくりの視点は、抽象的な「人」ではなく、生き生きとした生身の「人」がいることを肝に命じているのだと。
そんなふうにご自身のキャリアを振り返りながら、今後のまちづくりを考えると、区役所はこれまでお世話するだけの立場だったが、これからは、区役所と商店街が一体となって汗をかくような、一緒に知恵を出し合うような関係にしていかなければならない、と、おっしゃってはりました。
まちは、ハードをつくって終わりではなく、そこから進歩し、発展し、生活がある、持続可能な都市を目指して頑張りましょう、と。
次は、
大阪ターミナルビル株式会社常務取締役企画部長の江本達哉氏。
1月に上棟式があったばかりの大阪駅北ビルや新装なる大阪駅についての講演でした。
大阪駅というのは、今、1日に約250万人の乗降客があって、これは、全国で3位の多さだそうです。その意味でもキタの中心に位置するスポットなのだけれども、そのわりには、エアポケットのようになっているとか真空地帯のようになっているというか、ようするに賑わいから取り残されたエリアだった、という認識があったようです。
そこで、駅の新装を機に目指しているのは、
1)北ヤード再開発や中央郵便局跡、阪急百貨店など各エリアの相乗効果を高める周辺回遊性の向上。
2)鉄道ネットワークの基点としての整備。
3)にぎわいづくり。
の、3点。
駅という点の開発ではなく、エリアとしての賑わいをつくり、鉄道を使って遠くからでも人が来る「来街者」を増やすのが目的で、難しい言葉では、「線区価値の向上」を目指しているのだそうです。
駅の具体的な構造や導線などについては、CGで見せてもらいました。ま、そこは細かいところまですでにメディアに発表されているので、ここでは割愛。
ざくっと書くと、ヤードや阪急を含む大阪駅から北側の半径500mの半円の基点に大阪駅が位置するわけですが、その立地から、南北の導線を整備し、そのぶっとい南北の導線を軸に東西の導線とポイントとなる広場を設けて、回遊性を高めていく、と。
で、なぜそのような試みにトライするのかというと、目指すところは、
駅ビル→駅ナカと発展してきた駅の役割をさらに発展させて、「駅まち」を目指すんだ、と。
この「駅まち」は、駅ビル+駅ナカ(改良駅)+街路、広場を一体で整備するものだと、おっしゃってはりました。
このエリアの新名称は、「OSAKA STATION CITY」とつい先日発表されたばかりですが、この名称には、そういう意味が含まれているわけですね。
最後に、小ネタ情報。
現在の大阪駅は駅の両サイドに延びる線路に比べて駅の幅が大きく膨らんでいるために、入線時に大きく減速したり大きくカーブを切ったりしなければならないのですが、新駅では駅全体の幅が少し狭まるために、入線時の減速やカーブの度合いが緩やかになって、より心地よくなるそうです。
続いて、講演の最後は、
株式会社大丸大阪・梅田店長兼梅田新店計画室長の村田荘一氏。
大阪駅が新装なる来年春には、このエリアに、阪急・阪神、三越・伊勢丹、大丸の3社、計4つの百貨店ができることになり、駅の集客は新宿よりも劣るのに百貨店の総面積は新宿を上回るという、オーバーストア状態に突入するわけです。
なので、どの百貨店も危機感を持って今後の戦略を立案しているわけですが、大丸は、どのような戦略でやっていくのか、というお話です。
まず、百貨店を取り巻く脅威の認識から。
1)格差社会の到来により、メインの顧客だった中流階級意識を持った層の分解。
2)カジュアル化の進展。ハレの日を重視しない傾向。
3)有職主婦層の増加で平日昼間の集客が減少。
4)消費のソフト化(モノからサービスへ)
などなど。
一方で期待は、
梅田エリア自体が関西の玄関口としての存在感を増す。
そのうえで他の百貨店との差別化ですが、
現状の大丸梅田店の認識では、
阪急・阪神百貨店には、同質化、包み込みの戦略があり、なんでも揃うアドバンテージがある、と。
三越・伊勢丹には、ファッションをリードする戦略と力があります。
一方で、大丸梅田店の特徴は、
1)立地がいい
2)ローコストのノウハウがある
3)コンテンポラリーのイメージが(まだ)ある
4)中価格帯の充実
5)ミュージアムを持ち、文化施設がある
以上の5点。
逆に大丸梅田店の弱点は、
1)1フロアが狭く、多層化構成になっているため、不便
2)低層階が狭い(これは、増床後も解消されない)
3)超高級ラインを持っていない
4)食品が弱い
以上を踏まえたうえで、
大阪駅の改装と大丸梅田店の増床後の展望として、
1)営業面積が1.4倍になる
2)駅まち化により、来街者が増える
3)マルチエントランス化(B2F、B1F、1F、2F、3F、6Fに出入り口ができる)
4)ローコスト運営のノウハウを発揮して、調達チャネルの拡大を図る
を挙げてはりました。
その展望のなかで脅威に感じている点としては、
1)オーバーストア状態
2)百貨店としての存在意義の希薄化
3)コンテンポラリーイメージの希薄化
4)買上率の低下(来場者数は横ばいなのに、買上率は下がっている)
以上を鑑みて、大丸梅田店が考える方向性は、
梅田来街者を取り込み、買上客数を増加させることを目指す、と。
やはり梅田という立地を考え、職を持った主婦層にターゲットを定め、
高感度商品とデイリー商品の両立を目指すことで、利便性とコンテンポラリーイメージを追求していくとのことです。
高層階では集客をはかり、中層階では百貨店らしさを出し、低層階では買上率をアップさせる、そういう構造で全体を構成するらしいです。
最後に、大丸梅田店はミュージアムを持っていますが、これは、増床後も引き続き運営していくのだそうです。そうした施設を持っている魅力はじゅうぶんに認識していて、メディアとしての店舗の魅力化は、一層進めていく、と。ただし、これまでのファインアート中心の展示だけではなく、アメニティ性を高めていく展示に変化していくそうです。
以上、ダイジェストでした〜。
ああ、書くの疲れた(笑)
北区まちづくり講演会主催:大阪市北区商店会総連合会
2月16日(火)4:00〜
帝国ホテル大阪大阪市北区天満橋1-8-50
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