天満市場の西側、「裏HIROYA」やら「かい原」があるあたり、今、激戦区になっているのは、たくさんの人がご存知の通り。
でも僕が足繁く通っているのは、ここで40年店を構えている
「天平」です。
天ぷらがメインなのだけれども、魚や煮物が美味しい、それでいてビックリするくらい安いお店でもあります。
優しさと威勢のよさが入り交じった大将と女将さんの醸し出す雰囲気がバツグンで、それはそのままお皿の味にも反映されていて、美味しい、安い、居心地がいい、接客が気持ちいい、と、どこにも非の打ちどころがないようなお店です。
天ぷらなんてビックリするくらい美味しいけど、全然気取ってないから、気取ったところで食べるよりも7掛け、下手したら半額くらいで食べられます。
大将も女将さんももう還暦を過ぎてはって、お客さんもむかしからの人が多いから、そういうお店は、インターネットにはあまり登場しませんね。でも、天満を代表する名店ですわ。個人的には、今、もっとも大切にしているお店。
今回は、食べるもんのことを書きたいのではないのでした。
そこは、むかし、エントリーしました。
↓
「天満立ち飲みツアー note.002 「天平」 - 幸せになるということはこういうこと。」大将と女将さんの話。
大将は、必要以上のことは話さず、淡々と仕事してはります。といって、愛想が悪いわけではなく、こちらの問いかけにはキチンと応えてくれはるし、雰囲気がね、なんともいえん柔らかさがあるんですわ。
一方で、女将さんはチャキチャキ。お客さんとの丁々発止の掛け合いを楽しんではります。でもそこにはイヤミも毒もなくて、大変に清々しい。元気溌剌!という形容がピッタリのお人です。
お二人はご夫婦で、おとうさん、おかあさん、と、お店のなかでも呼び合ってはります。
ほいで、
おかあさんは、お父さんはこの界隈で一番の働き者!お父さんがつくった料理なんやから美味しいはずです、私が保証します!と、褒めちぎります。
字面だけを見ているとバカップルみたいに見えるけれども、そこはデレデレとした空気は些かもなくて、凛とした清々しさと元気さで、そのように、おかあさんは断言されるのです。
おとうさんは、照れるというふうでもないし、衒いもなく、淡々と仕事してはります。
おたがいがおたがいを尊敬しあっているのが手にとるようにわかり、しかもそのことで端にイヤな思いをさせないという、絵に描いたような理想的な夫婦像が、そこにはあります。いまどき、ドラマの設定にすら使えないくらいの、絵に描いたような理想。
さて、古い、年季の入った店内の壁に目を遣ると、壁一面に品書きが埋め尽くされています。
達筆の字でね。これ、おとうさんのおかあさんが、今も現役で書いてはるのですね。御歳90歳の、おとうさんのおかあさんです。
もう耳もメチャクチャ遠いし、歩くのもママならないけれども、お店の隅っこに座って、お客さんが来るたび、いらっしゃいませ!と、絞り出すような、それでいて元気なお声で、僕たちをお迎えしてくれます。
僕、この、いらっしゃいませ!が好きでね。せいいっぱいのお声なのだけれども、悲壮感なんて微塵もなくて、あったかい気持ちになります。
で、おかあさんは、この、おとうさんのおかあさんと、とてもなかよしです。
嫁と姑の確執、なんてのとはまったく無縁の世界です。
そういう、僕にとって宝ものみたいなお店が、天満にはあります。
もう40年になるんやそうです。
僕は、ここに通うようになって8年くらいかなあ。
あんまりにも素敵なお店なので、いろんな人を連れていったり、紹介したりします。
でも僕、天満に腰を落ち着けるようになって10年くらいの新参者なんで、知り合いを連れていってみたら、その知り合いのほうが長いこと通っていた、なんてこともちょくちょくあります。
ほいで、ときどき、全然べつの角度から、それこそありえへんような角度から、このお店を通じて、誰かと誰かが繋がった、なんてことがあります。
最近も、そんなことがありました。
僕が今、忙しくしている仕事のひとつに、Think Of JAPAN While Knittingという、3.11で傷ついた被災地をニットで繋いで支援しよう!というチャリティーのプロジェクトがあります。ボランティアでやってることなので、仕事ではないけれどもね。
で、このプロジェクトの中心にいるatricotさんは、僕の古い友人です。
先日、プロジェクトのイベントであるモチーフサーキットを天神橋筋商店街にある関西大学リサーチアトリエで開催したあと、僕はatricotさんを「天平」に連れて、ささやかな打ち上げを行なったのでした。
atricotさんは京都の人なので、「天平」は、お初です。や、むかーしに一度連れていったことがあるから、2回目かな。ま、そのあたりのことはよろしい。
で、案の定、美味しかったので、atricotさんは、彼女がお世話になっている原毛家のポンタさんに、そのお店のことを話したのだそうです。僕もよく知っているポンタさんは、京都は等持院で、羊と格闘するパワフルなおねえさん。
すると、だ。
ポンタさんは「天平」は、ご存知である、と。しかも、もっとも大切にしているお店のひとつである、と。
繰り返しますが、ポンタさんは、京都に居を構える原毛家です。そのポンタさんが、なぜに天満の「天平」を?
よくよく聞いてみると、ポンタさんは今でこそ京都にお住まいだけれども、ご実家は大阪の曽根崎で、それも、お医者さんの家の出です。
で、ポンタさんのおとうさんが、じつは「天平」の大ファンだったらしく、ポンタさんのおとうさんのお嬢であるところのポンタさんは、おとうさんに連れられて、幼少の頃から、「天平」によく行かれていたのだとか。もちろん、大きくなってからは、おとうさんの手を離れて。
ところでポンタさんは名字がちょっと変わっているので、お名前を見れば、ああ、あそこのお医者さんの、と、なる人です。
半年くらいまえ、北区の区長さんをお連れした場所に、まったくの偶然に、ポンタさんがそこにいました。
で、双方を紹介すると、ポンタさんの名刺を受け取った区長さんが、ん?大阪医師会のあの先生の?と、聞いてはります。
その瞬間まで僕はまったく知らなかったのだけれども、ポンタさんはお医者さんの家の出で、おとうさんは評判のお医者さんで、今は、ポンタさんの弟さんが、おとうさんの後を継いでおられるのだそうです。その弟さんは、区長さんとお知り合い。で、あの先生の?と、繋がっていくわけです。
どこで繋がるか、まったくわかりません。。。
さて、そのポンタさんとポンタさんのおとうさんが「天平」に通っていることが判明し、ポンタさんのおとうさんと弟さんは評判のお医者さんで、北区役所とも縁が深いことがわかり…、なんてことだけでもお腹いっぱいなのだけれども、さてさて、「天平」の大将と女将さん、つまり「天平」のおとうさんとおかあさんは、じつはポンタさんのおとうさんに身体を見てもらっていたということまで判明し、もう、なにがなにやらです。
まだあります。
僕が「天平」でときどき会う、天満にお住まいのオバァがいらっしゃいます。
そのオバァは、そのむかし、天満とは縁もゆかりもない弁天町の高校で先生をされていました。
一方で、僕が「天平」にお連れしたことのある人が、います。その人は、僕が、いい店があるから!とお連れしたのだけれども、じつは僕よりもずーっとまえから「天平」に通ってはって、あれまあ、となった人です。
さて、その人は、なんと、僕が「天平」でときどき会う天満にお住まいのオバァでかつては弁天町の高校で先生をされていた人の、かつての教え子なのでした。
弁天町でそのような邂逅があるのなら、まだわかります。
でもここは、天満の「天平」。。。。
もう、いろんな点が繋がって繋がって…。
長いことやってはるから、ということだけではないように、僕は思います。
「天平」のおとうさんとおかあさんが、僕や僕と縁のある素敵な人たちを引き寄せてくれてるんやと思います。
そういうことすら感じさせる、素敵な素敵なお店なのです。
今日は、天丼を食べてました。580円也☆
通ってる余禄で、水菜のおひたし付きました☆
天ぷら・季節料理 天平大阪市北区天神橋5丁目1-14
tel. 06-6353-4714
11:30-14:30 17:30-21:30
日祝休み
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